「泊まれる本屋“ねをはす”」に泊まった話(後編)
こんにちは、中国経済産業局 書店振興プロジェクトチームです。
今回は山口県下関市にオープンした複合型ホテル「ねをはす」体験記の後編をお送りします。
前編はこちら↓
宿泊者限定の「夜の本屋」
ねをはすは、「泊まれる本屋」がテーマの宿泊施設。本を満載した客室については前回お届けしましたが、書店にも宿泊者が楽しめる仕掛けをたくさん用意してくれているんです。
それがねをはすの目玉、「夜の本屋」。ド直球のネーミングですよね。
ねをはすは、21時から朝5時までの間、宿泊者のためだけに書店をオープンしています。特徴は、店内全体が暗くなること。行灯を手に持ち、その明かりを頼りに本との出会いを探し歩くというコンセプトなんだそうです。
事前にそのお話は聞いていたので期待に胸を膨らませつつ、先にレストランでディナーをいただきます。
衣食を通じて存分に味わう、地元・山口の魅力
本記事の本筋ではありませんが、地元の食材を多く使われているとのことで、とてもおいしい料理ばかりでした。下関のクラフトビールや地酒も用意されており、しっかり地のものを楽しむことができます。
部屋に戻り、お風呂に入ろうとしてリラクシングウェアの説明書きに目をやると、ここにもこだわりが!
なんとシーツからタオル、ウェアに至るまで、和紙の特徴を研究して作られたものなんだそうです。もちろん和紙でできている訳ではなく、しっかりとした布なのですが、触れるとなんとなく紙の手触りを感じるような気がします。紙の本が好きな人にはちょっと嬉しい仕掛けではないでしょうか。
そんなウェアに袖を通し、フロントに降りて夜の本屋に入店したいことを伝えると、行灯(手持ちの照明、火はついていません)を渡されます。
明かりのスイッチを入れ、店内に入ると・・・
薄明りの下、特別な出会いを求めて
そこには昼間とは全く違う雰囲気の書店が待ってくれていました。24時間、夜でも空いている書店であれば探せば見つかるかも知れません。しかし、照明を暗くして夜を感じさせることができるのは、宿泊者に顧客を限定したねをはすならでは。
店内は真っ暗ではないですが、タイトルを確認するには明かりがあった方がよいという絶妙な照明具合になっています。そこで写真のように、行灯をかざして本を見ていくことになります。
まるで光を頼りに本の山を探検しているかのような、これまでにない体験を味わうことができました。
フロントにはスタッフが常駐しているため、昼間と同じように本を購入することもできます。暗い店内を1時間余り練り歩き、この時間に巡り合った数冊を買わせていただきました。それだけで、少し特別な本になったように感じます。
オープンしたばかりのねをはす。関わった人すべての本への愛とこだわりが詰まった、これまでにないホテルです。きっと本好きの間で人気の場所になるのではないでしょうか。
気になった方はぜひ、下関の地を訪れ実際に体験していただければと思います。